こまどりロビン教育科

中学・高校の教育関係を中心に、実感と事例を挙げながら書いていきます

授業を「自分のこと」と思わない生徒たち

教育業界の最前線にいる教員が「最近の子どもは……」というセリフを言ったら終わりだ、と思いながら十数年のあいだ教育業をやってきた。そんな壁を作るだけのような線引きはいらない、と。だけどさすがに最近、「む、これは『最近の子は変わった』と言うしかないのか」という思いを少しづつ抱きつつある。
例えばケンカをしない、タバコ吸わない、積極的な男子が減った、など。
生徒指導の件数や、応援団・生徒会役員の男女比など、数値的に明らかに確認できるので、感覚的なものではないなと思う。そして何より、「質問に来ない」ことだ。ここ2~3年でテスト前に質問を受けたのなんて数えるほどしかない。昔はうっかり廊下を通ろうものなら夜の7時まで質問攻めだった。
そもそも学習というものに対するスタンスの取り方が変わりつつある。大学全入時代だからなのか、インターネットの普及のせいなのかは分からないが、なんというか、「授業」というものを「自分のこと」と捕らえようとする意志が希薄になっているというか。これはもちろん多くの先生が感じていることで、そういうのに敏感な感覚に人と話をすると、もう授業でいくら手を変え品を変えしゃべってもしょうがないんじゃないか、という結論になる。そこで、最近ではからプレゼンテーションや論述をメインの授業にしていこうしているのだが、なかなか難しい。壁は生徒ではなく、教員間にある。先生たちの間にはまだ「何で今までのスタイルじゃダメなの?」という空気が根強いのだ。
分からなくはない。黒板の前でしゃべって、問題集をやらせて、はいテストー、という流れは安定して見えるし、何より先生自身がラクだ。芸人が漫才ネタをやるように、事前に決めたとおりしゃべれば授業時間が終わり、保護者からクレームが来ることもない。しかしこんな「学校ごっこの先生役」をやっているだけのような授業をしても、生徒の思考力は果たして増進しているのかどうか非常に怪しいものである。