こまどりロビン教育科

中学・高校の教育関係を中心に、実感と事例を挙げながら書いていきます

今だったら絶対に導入されないスキー学習

「現代に発見されたとしたらジャガイモは絶対に食品として認可されない」、という話をたまに聞くことがある。

ジャガイモは芽に毒があるだけでなく、光を浴びて緑化した皮などにも毒がある。調理すれば無毒化されるとはいえ、けっこうな猛毒だ。死に至ることもあるらしい。現代でもたまに調理不十分で中毒したというニュースを聞く。

こんな危険な食品、いま発見されたのだとしたら、絶対に流通不許可になっているだろう。モチだってあんなに危険なのに歴史があるから認められていて、新参者のこんにゃくゼリーのように厳しい批判にさらされることも無い。

 

それと同じように、昔からやっているので認められているものの一つに、「スキー学習」があると思う。

スキーは危ない。衝突・激突による骨折、吹雪による遭難、事故の可能性はいくらでも考えられる。あんな多方向からの危険性が満ちている場所に、はしゃぎまわる中学生・高校生を連れて行くことは、学校内の他のあらゆる行事と比肩して断トツに危険度が高い。

その上、よく考えてみれば公教育のカリキュラムの中で生徒たちをただのレジャーであるスキーに行く必然性も全くない。

このように「スキー学習」はよく考えると何の必要性も無い上に危険度の高いことを好きこのんでやっているという不可思議な行事のひとつなのだが、これがいまだに学校文化の中で市民権を保っている理由はただ一つ、「昔からやっているから」であると思う。

今みたいに危険性に細かく騒ぎ立てれることの無かった時代に始まったので、そのまま続いてしまっている。もしこの文化が日本に全く無かったとして、今のこの時代に

「中学生をスキーに連れて行きましょう!」

とか言いだす人がいたら、間違いなく速攻で却下されると思う。

 

そう考えれば、つい最近まで昔からやっているので続けていたものはたくさんある。体育祭の組体操、騎馬戦、棒倒しなんかは徐々に姿を消し始めている。伝統校各校の遠泳や長距離登山なんかもそろそろ危ういのではないだろうか。

そしてスキー学習も、取りやめにする自治体がだいぶ増えてきたと聞く。

もし次に何かの事故があって大きく報道されたら一瞬で全国的に姿を消してしまうのではないだろうか。