こまどりロビン教育科

中学・高校の教育関係を中心に、実感と事例を挙げながら書いていきます

いきなり「よーいドン!」と言われる恐怖

小2になる子供が、体力テストのボール投げでクラス最下位だったと、少ししょんぼりした顔で報告してきた。
どれどんな程度なんだろうと近くの公園で投げ方を見てみたところ、たしかに「これは……」と、ちょっと励ましと支援の必要性を感じさせるものだった。たとえて言うなら、はじめて左手でボールを投げる人を見ているような、力の入れ方が全くちぐはぐなフォームなのである。

しかし思えば、彼女が「物を上から投げる」行動をしたところを、育てて7年間全く見たことがない。幼稚園の放課後も他の男子がびゃんびゃんボールや枝を投げる中、いっさい興味も示さず原っぱを走ったり草花を摘んだりしていた。「物を投げる」ことにそもそもの関心が一切無いのである。

彼女にとっては戸惑いしかないだろう。
これまではやらなくても全く困らず、興味もなかった「物を投げる」ということに対して「テストです」と言われてやらされ、その上「最下位です」と言われるのだから。

 

しかしこれは我が家の娘のボール投げだけではなく、日本中の全ての学校で多くの子どもに起こっている不幸であろう。自分は楽しく幸せに暮らしていたのに「テストです」と言われ、興味も関心もないことでいきなり順位付けをされる。平穏に生きていただけなのに、とつぜん所属コミュニティから否定を突きつけられるのである。
こんな不幸はない。

とはいえ多くの子供たちは学校社会の与える選択肢の中から、一つでも他に勝るものを見つけて自己肯定感を獲得して生きていくのだろうが、そうでない子供は本当につらいだろうと思う。

そんな社会にまだまだ一石を投じるような試みをしなければなと思う。