私立校の説明会の質疑応答で聞くと効果的な質問・5選
私立校の学校説明会や入試説明会が加速する季節です。せっかく行ったからには、説明を聞くだけでなく何か質問をしてみたいものですが、一般的によく聞かれる「いじめの対応は……」「学習に遅れた子の対応は……」あたりは回答がテンプレ化していて、いまいち学校の本質が見えてきません。
そこで今日はこれを聞くと学校の本質が見える質問を5個、選んでみたいと思います。
1.修学旅行の狙いは何ですか。そのためにどのような事前学習、事後学習を行っていますか。
修学旅行は、学校にとってある意味では「外注事業」です。
保護者から必要経費をもらい、その資金で旅行業者に外注するのが基本です。なので、いくら「イギリス・デンマーク7泊8日」とか格好いいことを言っても、お金さえあればなんとか実現できてしまうので、学校自体の教育力ではないのです。
学校の教育力は、その狙いは何かということと、外注ではできない「学校内部における事前・事後学習」で何を学ばせているかという点にあります。それがしっかりしてれば、たとえ行き先が国内であろうと、高い教育効果が望まれます。
修学旅行費用が高いなと思ったら、「妙に割高に感じますが、効果はほんとにあるんでしょうか」とストレートに聞いて、回答を比較検討してみて下さい。
2.学校行事の運営に、生徒はどのような形で携わっていますか。生徒の自主性にどこまで任せていますか。
これは会社の仕事でも同じだと思いますが、上司がすべて判断して部下を指示通り動かすよりも、部下が自主的に判断して行動する組織を作る方が難しいものです。
もちろん生徒活動においても、前者のトップダウン型のほうがもちろん運営は楽ですが、後者の自主運営型の組織の方が教育機関としてのあるべき姿に近いです。
超有名例)開成学園の運動会
これをどこまでできているかは、その学校の力量を見定めるのに有効な一つの指標になるでしょう。
3.教員の研修はどのような形で行っていますか。
公立学校では定期的な研修制度が設けられていますが、私立学校では各学校の判断に任せられているので、本当に千差万別、まちまちです。口先で「一つ一つの授業を大切にする学校です」と言っても、研修を大切にしているかどうかで、学校全体の授業に対する姿勢がありありと見えます。
また、「紀要」と呼ばれる研究成果のまとめ冊子を作っている学校も多いです。
説明会で「研究紀要があれば、一冊ください」と言ってみてください。対応を比較することで、学校の教員に対する姿勢において見えてくるものがあると思います。
4.学習意欲の向上に向けて、どのような取り組みをしていますか。
言うまでもなく、学習成果は意欲に依るところが非常に大きいので、学習意欲の向上を目指す方が放課後補習の授業数を増やすよりも生徒・教員、互いのためになります。
こう言うと角が立ちそうですが、補習のコマ数の多さばかりを標榜する学校は微妙な高校であることが多いです。補習なんかは、使いつぶしの教員を雇ってあてがえばいくらでも補充できるので、そんな学校ではどんどん教員が辞めていくため、毎年全教科の教員を募集していたりします。
一見スパルタでわかりやすいので、それなりには生徒を集めていますが、学習姿勢や意欲の向上に組織として取り組んでいる学校の方が、やはり教育を「人生の糧」としてを考えた場合、進学先として選ぶべき場所なのではないかと思います。
例) 海城学園 社会科
5.窃盗・傷害などの重大な生徒指導案件が出たときにはどのように対応していますか。
これは大切です。
退学に相当するような指導案件に学校がどう向かい合うかの姿勢には、保護者や生徒の人生に対してどう向かい合おうとしているかの意志が現れてくるので、学校の教育姿勢を知るには非常に有効な質問です。たとえ自分の子に全然そういった気配がはないとしても、聞く価値はあります。
もし自分の子供が学校を退学になったとすれば、それまでかかった塾の費用、入学金、授業料、全てが無駄になってしまいます。現実に起こってみると、このショックは計り知れないものがあります。
なので安易に退学を選ぶような学校は、このような気持ちにも思い至らず、めんどくさいことを切り捨てたがる、子供の人生と正面から相対する意思のない学校といえるでしょう。絶対進学させるべきではありません。
前の記事にも書きましたが退学や留年は簡単ですが、安易にそれを選択することは教育活動の放棄なので、学校のするべき仕事ではありません。むしろ、どのようなプロセスで生徒に指導をしていくか、それを具体的に持っている学校が、生徒に真剣に向き合っている学校であるといえます。
その指導の過程などを具体的に聞くことができれば入学前から信頼に足る学校を見つけ出すことも可能でしょう。